《100W》1998年/宮崎甲子男

珍スポット好きにはよく知られた福島県いわき市の「喫茶ブルボン」。1階駐車場から2階の広々とした喫茶室まで、おびただしい数の平面・立体作品で埋め尽くされた店の主が宮崎甲子男(かしお)氏。東京は本郷の生まれ、東京工大に進んで理論物理学の仁科芳雄博士(門下生に湯川秀樹、朝永振一郎らがいる)のもとで原子爆弾の研究に従事する。おかげで学徒出陣しないで済んだものの、終戦後にはGHQから「3級戦犯」(C級?)とされて、「東北を逃げ回ってるうちに、いわきに来ちゃった」。手先の器用さをいかしてミシンの修理をしながら東北地方を転々としたのち、昭和47~48年に、海水浴場として知られるいわき市新舞子に『喫茶ブルボン新舞子店』を開業。しかし東日本大震災の2年ほど前に「なんだかイヤな予感がしまして、新舞子から移ってきたんです」。

宮崎さんは2016年に91歳で亡くなり、現在は孫の会田勝康さんが引き継ぎ、友人の協力を得て不定期で営業しているそう。