2000年代の初め頃に知り合った野田凪(のだ・なぎ)は若き天才デザイナーだった。ラフォーレ原宿、ナイキ、コカコーラ……テレビ・コマーシャルが輝いていた最後の時代に、斬新な作品をたくさんディレクションしていた。そんな巨大クライアントとの仕事を連発する合間に、『ストリート・デザイン・ファイル』という、世界中の「どこにでもあるけどリスペクトされないデザイン」を集めた20冊のシリーズで、バイブやディルドをデザインの目線で捉えた『PORTABLE ECSTACY オトナのおもちゃ箱』や、本館の3階にフィーチャーされた鳥羽の秘宝館写真集『SPERM PALACE 精子宮』をデザインしてもくれた。半分がパンダ、もう半分が他の動物を組み合わせた《Hanpanda》シリーズは2007年に発表され、大きな話題を集めた。野田凪さんは2008年に死去。34歳という若さだった。