(タイトル不詳)2015 年ごろ/山本英子

2015年、取材で訪れた札幌市内で偶然立ち寄った、ビルに囲まれた築百年以上の民家をそのまま展示室とカフェにしたギャラリー犬養。そこで「これが初個展」という山本英子の作品に出会った。ギャラリーのすぐ裏にある高層マンションにお住まいで、長年つくりためてきた手芸や絵画作品を、ギャラリー・オーナーにすすめられて「恥ずかしいけど、みなさんに見てもらうことにしました」。結婚、子育てを終えて、ご主人が長い介護の末に亡くなったあと60歳を過ぎてから、近所の老人ホームで開かれていた絵画教室に通い始める。結婚してからずっと続けてきた手芸と、新たに覚えた絵画を組み合わせた多彩な表現を展開、札幌を中心に若いファンを増やしている。展示のなかには細長い巻物のようなモノクロのドローイングが広げられていて、それは「レシートにアイロンで描いた」作品なのだという。レシートは感熱紙なので、熱を当てるとその部分が黒くなるという、レシート・アイロン・ドローイングなのだった!