サラリーマンとして働きながら、奇妙な絵を描き続けている青木さん。何年か審査員をしていたヴァニラ画廊の公募展で出会った作品。以下本人による解説――
プロのお姉さんからその奥義を学ぶべく、頼み込んでいる素人イップス人。
お姉さんはまず心の大切さを説く。
その技能は、裏風俗の現場で発揮する。
「素人イップス」はとは、素人を相手にすると緊張してしまう人のこと。
「親分」でも「組長」でもなく、「焼き絵師・元心」となって、最初の個展のころはまだ現役だったけれど、いまは堅気の立場。周囲に迷惑をかけないように、名前もそう変えたのだという。ちなみに作品に押されている「元心」の落款は、付き合いの長い警視庁の刑事さんが作ってくれたものだとか。
まったく独学で焼絵の世界に入ったのが2013〜14年のことなので、もうすぐ20年目。当然ながら日本の美術メディアは完全無視だが、2016年ごろからヨーロッパのサロン展で幾度も入選しているキャリアの持主でもある。
元心さんは大病を重ね、入院と大手術を幾度も繰り返し、いまも透析に通いながら、日々革に向かっている。